「HIV感染者就労のための協働シンポジウム 札幌報告会」レポート

2009.3.28

「HIV感染者就労のための協働シンポジウム 札幌報告会」レポート

●札幌報告会

日時:3月9日(月)15:00-17:00
会場:札幌アスペンホテル アスペンB
        札幌市北区北8条西4丁目5番地

行政「人生の中に、「仕事」を加えてほしい。ハローワークは応援していく。いろんな当事者支援団体が開催するシンポジウム・勉強会等にハローワーク担当者を呼んでほしい。」
当事者「HIV感染者当事者は今でも働いている。HIVも慢性疾患なので、(就労は)当たり前にできる。HIV情報提供の内容が重要。働きやすい環境は自分たちでも作る。」
 

「就職は当たり前にできる」と強く訴える当事者の後藤正善さん札幌でのシンポジウム地方報告会は、昨年に引き続き2度目の開催となりました。行政担当者からの報告では、今年度のHIV感染障害者のハローワークへの相談・登録あわせて1件のみとの行政からの報告がありました。北海道での雇用状況、障害者雇用促進法の概要、そして、HIV感染者に対してはジョブコーチの活用が有効ではないかというお話がありました。「人生の中に、「仕事」を加えてほしい。ハローワークはそれを応援していく。」というメッセージが伝えられました。
(写真左:「就職は当たり前にできる」と強く訴える当事者の後藤正善さん)

続いて、今年度の地方報告会では初となる当事者からの報告がありました。会社の社員2000人のうち約7割は自分のHIV感染について知っており、人並み以上に何の問題もなく働いている経験や現状についての報告がありました。HIV感染者当事者は今でも働いているが、きちんと正しい情報が職場に伝えられることと、HIV感染者当事者が働きやすい環境が必要というコメントがありました。

ハローワーク札幌の吉田宣博統括職業指導官からは「当事者の需要がないのでは」という厳しい指摘もその後のフロアを含めた質疑応答が行われました。HIVのことをハローワークとしてどのようにとらえているのかという質問に対しては、当事者の実態が分からない、需要がないのでは、との厳しい意見が出されました。北海道でのHIV以外の障害者就労へのハローワークの働きかけについての質問では、例えば北海道の発達障害のグループが現在行っている就労支援の取り組みが例に出されました。支援団体や医療と行政の連携、具体的にはHIV感染者に対するチーム支援などが指摘されました。今後の事業連携の在り方として、北海道でもHIV感染者の就労に関するシンポジウムや勉強会などにハローワーク担当者を加えてほしい、というコメントがありました。(写真右上:ハローワーク札幌の吉田宣博統括職業指導官からは「当事者の需要がないのでは」という厳しい指摘も)

ハローワーク札幌の吉田宣博統括職業指導官からは「当事者の需要がないのでは」という厳しい指摘も

また、議論全体を踏まえ当事者の感想を促す質問に対して、当事者演者の発言として「HIV感染者が表に出て行く事は難しいといわれるが、出て行く勇気が当事者にない」という指摘に加え、「当事者も"今"何をするべきか、どうして行くのか、どうしていけるのかを把握することが大切だ」とのコメントがありました。

当事者自身による自主的な取り組みのために、具体的な視点の提供や提案の機会が当事者により直接持たれたことは、今年度の地方報告会では初めてとなります。また、行政からも、人生の中に「就労」を、というわかりやすいメッセージが述べられました。協働のあり方としての視点が深まっただけでなく、具体的な次の行動へとつながる有意義な地方報告会となりました。

 

●プログラム

4会場すべてに参加し、わかりやすく協働シンポジウムを報告していただいた関由起子委員長(左)。【HIV感染者就労のための協働シンポジウム 報告】
関 由起子(HIV感染者就労のための協働シンポジウム委員会 委員長)

【当事者からの情報提供】
後藤 正善(当事者)

【障害者の雇用促進について】
吉田 宣博(札幌公共職業安定所 専門援助第1部門 統括職業指導官)

【フロア全体】
質疑応答

(写真右上:4会場すべてに参加し、わかりやすく協働シンポジウムを報告していただいた関由起子委員長(左)。)

 

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